(井上 久男:ジャーナリスト)
10月4日に発足した岸田政権では経済安全保障担当相が新設され、本格的に経済安全保障政策が展開されることになるだろう。
経済安全保障とは、文字通り経済活動と安全保障を一体にして考え、日本の生存基盤、独立、繁栄を経済面から確保することである。半導体など重要戦略物資の安定的な確保に加え、国際ルールを決める国連専門機関での主導権獲得、国益を害する可能性がある海外からの投資規制、サイバーセキュリティの強化などが含まれ、対象領域は非常に広い。
この経済安全保障政策を自民党内で練ってきたのが、2017年4月12日に発足したルール形成戦略議員連盟(ルール議連)だ。同議連で議論されてきたテーマや提言をいくつか紹介すると、
「米国家経済会議(NEC)の役割と日本に求められる機能」
「日本企業に求められるデカップリング対応策」
「安全保障に資する国際サプライチェーン」
「人民元の国際化・デジタル化の見通し及び国際金融システムへの影響について」
「TikTokにおけるデータ・ポリシーとセキュリティ」
「安全保障上の脅威が懸念される外国製アプリ・システムへの対応」
「国際機関の中立性・公平性と我が国のプレゼンス」
「バイデン政権が検討する台湾有事シナリオ」
といった内容で時宜に合ったものが多いと感じる。台湾有事についての議論を自民党として初めてやったのがこのルール議連においてであった。