朝鮮労働党の車両を追い回したペクデガリの言い分
金正日総書記の誕生日である2月16日を象徴して「2.16」で始まっていた朝鮮労働党の車両番号が、朝鮮戦争休戦記念日の7月27日を象徴する「7.27」に変わってかなりの時間が経ったが、ペクデガリが朝から党本部の前で公開取り締まりを行うなど聞いたことがない。この状況が30分以上続き、金正恩総書記の耳にも入った。金正恩総書記は直ちに労働党の組織指導部に事件の調査を指示した。
調査の結果、先のペクデガリは交通ルール違反で7.27車両を取り締まったことが明らかになった。朝鮮労働党のベンツ「7.27-679」はペクデガリの目の前で違法Uターンを行った後、これ見よがしにペクデガリの前を通り過ぎた。
気分を悪くしたペクデガリが、取り締まりの笛を吹いたが、運転手は車の窓を軽く開けて「分かった」というジェスチャーを見せて通り過ぎた。その後、ペクデガリが「7.27-679」を追いかけ、平壌市内の道路でカーレースを繰り広げた。そして、「7.27-679」車両は、市内のあちらこちらを疾走した後、車両管理所の中に消えた。
ペクデガリは違反車両の引渡しを要求したが、当然のように車両管理所を守る護衛司令部の軍人らに制止された。軍人たちは「こんな狂った人がいるのか」「帰りなさい」と言い、「ここがどこか分からないのか」と脅した。すると、怒りがこみ上げたペクデガリがオートバイの拡声器で警告信号を鳴らしながら「7.27-679出て来い。交通違反をした7.27-679は今すぐ出ろ」と公開取り締まりを始めたのだった。
報告を受けた金正恩総書記は問題となった「7.27-679」の運転手の職を解く一方、平壌市交通地区隊に対して、組織指導部による強力な検閲を指示した。交通保安員にどんな教育をしてきたのか。なぜ最高機関である朝鮮労働党の車両を取り締まるのか──と。