(数多 久遠:小説家・軍事評論家、元幹部自衛官)
北朝鮮は9月28日に新型のミサイルを発射しました。朝鮮中央通信の発表によると、このミサイルは「火星8」と名付けられた極超音速ミサイルで、中国との国境に近い内陸部慈江道(チャガンド)都陽里(トヤンリ)から発射され、約200kmを飛翔した後、日本海に落下した模様です。
極超音速ミサイルは、イージスSM-3ミサイルでの迎撃が不可能なため、北朝鮮はこの開発に力を入れると発表しており、今回初の実験が行われたことになります。
今回の発射では、明らかになっているデータは少ないのですが、かなり不自然な点が多く、開発初期段階の限定的な試験発射だったか、もしくは失敗だった可能性があるように思われます。以下では、これらを検証してみたいと思います。
明らかになっているデータと不自然な点
近頃の北朝鮮のミサイル発射では、動画が公開されることが珍しくなくなっています。しかし、今回の発射で公開されたのは、離昇直後の静止画1枚のみでした(下の写真)。