米ハワイの真珠湾で行われた朝鮮戦争の合同慰霊式典に参加した韓国の文在寅大統領(9月22日、米海軍のサイトより)

 北朝鮮(北)国営の朝鮮中央通信によれば、「9月11・12日に発射された北の長距離巡航ミサイル(巡航ミサイル)の発射実験は成功であった」という。

 だが、日本のメディアによれば、韓国国防省や日本防衛省は、この実験情報を確認してはいない。

 そして、なぜか「日本政府が、このミサイルが早い段階で墜落したと発表した」との情報が新聞に掲載された。

 しかし、これは防衛省の発表ではない。しかも、発表したメディアは、日本政府か、日本関係者か、誰の発言なのかが明らかにしていない。

 日本政府の発表という情報発信のやり方は、信頼性も不明で、何か意図が隠されているようにも思える。

 私が防衛省・自衛隊で情報分析の業務に携わっていた時、極めてまれに謎が多い情報に触れることがあった。

 思い出すのは、1991年に旧ソ連のミハエル・ゴルバチョフ大統領が日本を訪問した時だった。

「旧ソ連が日本海に弾道ミサイルを撃ち込んだ」という情報が流れたのだ。

 この情報は後日、誤情報だということが判明した。メディアに流れる情報でも、冷静に客観的に、時間をかけて分析する必要がある。

 時が経てば、意図的に流された誤情報だったという事実が判明することが多い。

 北の弾道ミサイル実験の実績と巡航ミサイル開発技術保有の可能性から見て、今回は、北情報の信頼性が100%ではないが、ある程度は確かだろう。

 北は現在、実験中であって、いずれにしても近い将来に中国などと同等の能力を保有する巡航ミサイルの開発に成功するだろう。

 このため、日本の対応の検討が、早急に必要になる。

 そこで、北が発表した情報で、北の巡航ミサイル能力の実情および我が国の対応について考察する。

(「火星8号」についての考察は、近日中に投稿する)