韓国でも大人気の『鬼滅の刃』(写真:Lee Jae-Won/アフロ)

(羽田真代:在韓ビジネスライター)

 2019年から日本製品不買運動が開始された韓国。しかし、ゲームの世界は別のようで、2020年に発売された任天堂のゲーム機「ニンテンドースイッチ」用ゲームソフト「あつまれ どうぶつの森」は発売開始早々に品切れを起こし、一時期は「マスクよりも入手が困難だ」と言われた。

 同年にはソニーの新型ゲーム機「プレイステーション(PS)5」も韓国内で販売された。こちらは事前予約受付1時間足らずで即完売。プレステやニンテンドースイッチが韓国で飛ぶように売れる光景に、日本からも「不買運動はどうした?」と呆れる声が上がったほどだ。

 この他にも、スタジオジブリが制作協力していることで話題の「二ノ国」は昨年に韓国版の公式サイトも開設され、ゲームも順調な売り上げを記録している。韓国版は携帯電話でプレーを楽しむことができ、発売が開始された今年6月には、4年もの間、グーグルのアプリ配信プラットフォーム「Google Play」で売上高1位を保持していたゲームを抜き、新たな記録を樹立した。

 また、「この素晴らしい世界に祝福を!」のIP(知的財産権)を元に制作されたゲーム「コノスパモバイル」は、リリース開始からわずか1週間でグーグルのプレーダウンロードが100万件を超えた。

 現在、韓国のゲーム業界では日本原作のゲームを元にしたゲームの制作が流行している。日本製品の不買運動の中にもかかわらず、彼らがわざわざ日本原作にこだわる背景に、日本の漫画やアニメ、そしてゲームの認知度が世界的に高いことが挙げられる。

 認知度が高ければ高いほど原作自体のファンが多く、ファンがゲームユーザーになることが期待できる。また、マーケティングにそれほど労力やカネを使わなくても利用者を確保できるこという利点もある。それゆえに、反日だろうが何だろうが、日本原作のゲームに群がる。

 同じことはアニメにも言える。アニメ界でも日本製品不買運動の対象リストから外れた作品が登場した。人気アニメ「鬼滅の刃」である。

 コロナ禍の上映であったにもかかわらず、劇場版「鬼滅の刃 無限列車編」の観客動員数は累計で210万人を記録した。10月20日には「鬼滅の刃 兄妹の絆」も公開されることが決まっている。その後も「鬼滅の刃 那田蜘蛛山編」「鬼滅の刃 柱合会議・蝶屋敷編」が封切られる予定だ。

 加えて、「鬼滅の刃」をテーマにしたオーケストラコンサート「鬼滅のシンフォニーオーケストラコンサート」も9月15日に開催されている。同コンサートは11月にも開かれる。

 キメツファンの韓国人からは、「やっぱり鬼滅の刃だ!シーズン1をすべて見てハマって、無限列車まで見た。シーズン2も早く見たい!鬼滅の刃がなかったら生きていけない」「公開される3編以外にもあるようだけど、何で輸入してくれないの・・・泣」「映画館で販売されるグッズが楽しみ!」など、歓喜に満ちた声が寄せられている。

 韓国最古の図書専門EC会社「エス24」が発表した2021年上半期の「漫画ベストセラー30」では、1位から25位までを『鬼滅の刃』関連が独占した。27位に唯一韓国の漫画がランクインしているが、これ以外は『ワンピース』や『呪術廻戦』などすべて日本の漫画であった。

 日本のアニメや漫画、ゲームが、韓国人に多大なる影響を与えているということだ。