写真:Belga Image/アフロ

 元サッカー日本代表の岩政大樹の新刊『Football PRINCIPLES ~躍動するチームは論理的に作られる~』が「日本サッカー界が成長するためのポイントをクリアに指摘している」と評判を呼んでいる。

 例えば、サッカーの現場における「言葉」が持つイメージが、そのままピッチにおけるアクションやコーチングに影響しているのではないか、という指摘。指導現場や解説などでも聞かない日はない「攻守の切り替え」という言葉によって覆い隠されてしまった、勝てるチームが持つ本質についての言及を同書より一部抜粋してご紹介する。

「サッカーは連続する」の本来の意味

 現代サッカーとはどういうものか、という大局的なことに触れておきたいと思います。前提としてこれを知っておかないと、(先に紹介したサッカーの)原則も局所的なものとして捉えられてしまい、最終的にただボード上で駒を動かしているだけのものになってしまいます。

 本書を手に取ってくださるようなサッカーファンの方には「わかってるよ」と言われてしまいそうですが――「サッカーとは連続するもの」という大原則です。

 連続しているものは何か。まず、攻撃と守備の「攻守」になります。

 やっぱり「わかってるよ」という声が聞こえてきそうですが……あえて問いかけてみたいのです。「本当にわかっていますか?」と。

 これは特に指導者にお伝えしたい視点ですが、選手にも考えてみてほしいことです。

 昨今は、攻守が連続することに対する考え方として「切り替え」という言葉がよく聞かれます。言葉の功罪もあると思いますが、攻撃の局面、守備の局面が別物として捉えられているように感じないでしょうか。

 攻守が連続するサッカーというのは、そもそもその「つなぎ目」をなくして考えなければいけないはずです。つまり、攻撃した形がそのまま守備の形になり、守備の形がそのまま攻撃になっていること。

 断っておきますが、攻守がはっきりと分かれるサッカーも存在します。特にわたしが最近やるような、「年配者のサッカー」では、ボールを取りました、つないで、ちょっと時間をかけて攻撃しましょう。取られたら、守りますというふうに試合が進みます。これは、つなぎ目のあるサッカーです。育成年代でもこういうサッカーはよく展開されています。

 けれど、レベルが上がってくるとつなぎ目がなくなります。

 すると、何が起こるか。