日本野球機構の斉藤惇コミッショナー(写真:ロイター/アフロ)

 長引くコロナ禍の入場制限に経営側も「我慢の限界」が近づきつつあるようだ。プロ野球とサッカー・Jリーグによる合同の「新型コロナウイルス対策連絡会議」が6日にオンライン形式で行われ、新型コロナウイルスのワクチン接種を2回受けた人や検査で陰性が証明された人の観戦を優先的に認める制度の導入を目指す方針を確認した。

 会議終了後の記者会見ではプロ野球を統括するNPB(日本野球機構)の斉藤惇コミッショナーがワクチンや検査の証明を活用する形で観客数を増やしていくことに強い意欲を示し、これにJリーグの村井満チェアマンもおおむね同調していた。

 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会もワクチンや検査の証明を旅行やイベント開催に活用することを提言しているとはいえ、年内中に導入されるかは不透明。特にプロ野球としては日本シリーズが11月末で終了するため「(今年中に)実施できるかは何とも言えない」(斉藤コミッショナー)というのは紛れもない本音だろう。政府は1日でも早く観客数増加につながるルールを新たに制定し、制限も緩和してほしい――。これは間違いなくプロスポーツ界の総意であり、プロ野球界も言うまでもなく同じである。

観客の人数制限で球団経営もギリギリに

 プロ野球に限って言えば単純に考えてみても、他のプロ競技と比べて群を抜くような高年俸選手を数多く抱えている各球団にとって観客数の大幅減は死活問題に直結する。

 実際に先日、セ・リーグ某球団のフロント関係者が「来年もコロナで同じような状況が続き、観客の人数制限が継続されるならば本気で身売りも考えなければいけないかもしれない。ウチだけでなく他の球団も体力のないところは同じような経営状態だと思う」と真顔で口にしていた。コロナ禍になってニューノーマルな2年目のシーズンが終わりに近づきつつある今、どこもそれぐらいに切羽詰まっている。