極度の親北政策を採る文在寅政権で、北朝鮮の指示を受けた市民活動家によるスパイ事件が起きた。韓国社会を揺るがす今回の事件について、北朝鮮の幹部養成機関である咸興共産大学でも教鞭を執った、脱北者の金興光氏が分析する。
(金 興光:NK知識人連帯代表、脱北者)
最近、韓国社会を騒がせている「忠北(忠清北道)同志会スパイ団事件」で、国家情報院と警察当局は8月20日、容疑者4人のうち3人の身柄を清州地方検察庁に引き渡した。
これに先立ち、国家情報院と警察の合同捜査チームは、市民団体「忠北同志会」所属の市民活動家4人が北朝鮮の指示で団体を結成した上、様々な指令を実行してきたことを把握し、国家保安法違反の容疑で立件している。
かけられている容疑は、国家保安法の第4条(目的遂行)、第5条(金品授受)、第6条(潜入・脱出)、第7条(称揚・督励)、第8条(会合・通信)違反である。このうち中心となるのが、一般に「間諜(スパイ)罪」と呼ばれる第4条違反だ。ここでいう「目的遂行」とは、北朝鮮の指令に基づいて活動することを指す。
地域社会で影響力を持ち、各種の社会問題に意見を表明してきた市民活動家の中に、北朝鮮のスパイが紛れていたという今回の事件。地元の忠清北道はもちろん、このニュースに接した全国民に驚きと衝撃をもたらした。
今回の忠北同志会スパイ事件が大きな波紋を呼んでいるのは、今の文在寅(ムン・ジェイン)政権下で始まった「ぬるま湯の平和時代」の弊害を思わせる事件だからだ。
さらに、人一倍正義感が強く、良心にのっとって市民活動をしているというイメージも強い元学生運動家らが、堂々とスパイ行為に手を染めていたという事実の重さである。今回摘発されたスパイ容疑者の一人は文在寅大統領の特別補佐団で活動歴がある人物だということもわかっている。
それゆえ、極度の親北政策を採ってきた現政権に対して、疑念を抱く人が増えている。