つまり、このままアメリカだけを頼っていては、台湾の防衛はできないので、自立せよと警告しているのだ。こうした台湾での動揺に、蔡英文政権は、「バイデン大統領は19日の米ABCとのインタビューで、台湾に行動を取ると述べた」と、火消しに躍起になっている。

コロナで手一杯の菅政権、「アフガン情勢」どころではない?

 韓国でも、「カブール陥落」を契機として、在韓米軍の役割について改めて議論が起こっている。ごく簡単に言えば、右派勢力は、「アメリカに在韓米軍の重要性を再認識させるためには、現行の『北朝鮮からの防衛』だけでなく、『中国からの防衛』という側面を強調していくべきだ」という主張だ。

 一方、左派勢力は、「アメリカは当てにならないことが証明されたのだから、韓国は北朝鮮同胞により近づいて、いっそ早く在韓米軍を撤退させてしまうべきだ」という主張だ。来年3月に行われる韓国大統領選では、「文在寅(ムン・ジェイン)以上の左派」と言われる李在明(イ・ジェミョン)京畿道知事がトップをひた走っていることを思えば、今後韓国で、在韓米軍論議が熱を帯びてくる可能性がある。

 おしまいに、日本はと言えば、側聞する限り、何の議論にもなっていない。菅義偉内閣は「今日のコロナ対応」に精一杯で、「『カブール陥落』が近未来の日本防衛に与える影響」については、とんと関心がないように映る。残念なことだ。