結婚が「新しい人生」の選択なら、離婚は「誤った選択」に伴う不幸かもしれない。フランスの劇作家アルマン・サラクルーが「人は判断力の欠如で結婚し、忍耐力の欠如で離婚し、記憶力の欠如により再婚する」という言葉を残している。
離婚が人生の失敗と認識されていた時代もあったが、最近は離婚に対する社会的な見方が変わって、近年では韓国でも離婚と再婚を繰り返す人々をよく見かけるようになった。北朝鮮の離婚はどういうものだろうか。
(過去分は以下をご覧ください)
◎「北朝鮮25時」(https://jbpress.ismedia.jp/search?fulltext=%E9%83%AD+%E6%96%87%E5%AE%8C%EF%BC%9A)
(郭 文完:大韓フィルム映画製作社代表)
「結婚は後悔、離婚は夢のまた夢」
これは、最近、北朝鮮の離婚希望者の間で流行っている言葉だ。北朝鮮では結婚する際に、結婚式の後、本人や直系家族が管轄保安署(交番)と洞事務所(トンサムソ:日本で言う役所)に行って結婚登録すれば成立する。
一方、離婚は裁判を通じてのみ成立する。北朝鮮の離婚制度は他の国と比べて手続きと過程が複雑だ。そこには、家庭を単なる一家族として見るのではなく、北朝鮮社会を形成する「社会の一細胞」として見る社会政治的な背景がある。
韓国の場合、離婚する時は当事者の合意の下で離婚書類を作成し、判事から確認書を受け取るという協議離婚制度がある。それに対して、北朝鮮に協議離婚の制度はなく、夫婦が離婚に合意しても、離婚裁判という手続きを通さなければならない。
離婚裁判に際して、最も考慮される点は離婚事由である。
北朝鮮の離婚事由には、夫婦間に子供ができない、一方の当事者がたびたび暴力を振るう、配偶者が相手の直系家族や親戚と頻繁に不和を起こす、愛情や性生活に不満がある、一方が浮気をした、信念や価値観に不一致がある、配偶者の出身階級が悪いことが判明した──などがある。
この中で、重要な離婚理由として認められるのは、信念や価値観の不一致と出身階級の問題だ。