(羽田 真代:在韓ビジネスライター)
朝鮮日報が8月11日に「東京オリンピックの本当の敗北者」というコラムを掲載した。興味深い内容であったため、少し長いが先にご紹介したい。
ソンウ・ジョン論説委員によって書かれたこのコラムには、韓国側の問題点と、本当の敗北者が誰なのかを裏付ける説明が綴られている。彼が問題視した点は大きく下記の3つである。
(1)文在寅(ムン・ジェイン)大統領の訪日断念
「彼はなぜ訪日したかったのか」という問いに対して、以下のように整理している。
・文在寅大統領の訪日を支持する韓国世論はなく、むしろ反対意見の方が強かった。日本からのオファーもなかった。
・北朝鮮は3カ月前に五輪への不参加を表明、韓国が提案した南北平和イベントが霧散していた。南北関係改善の頼みの綱である米バイデン大統領も出席しない。
・訪日の対価として日本の輸出制限の解除を求めるも、一向に対策を講じない韓国に日本が制限を解くはずがない。
その結果、大統領府は五輪開幕4日前に訪日を断念すると発表した。五輪の政治利用は可能だが、一線を越えてはならない。文在寅大統領の失策を尻ぬぐいするために大統領府はその一線を越えた。
(2)大韓体育会が選手村の外壁に李舜臣(イ・スンシン)将軍の言葉を文字った横断幕を掲出
この件では、国際オリンピック委員会(IOC)が警告、横断幕を撤去することになった。「なぜ大韓体育会は横断幕を掲出したのか」という点についても整理している。
・平昌冬季五輪で、韓国のアイスホッケー選手が李舜臣の銅像を描いたヘルメットを着用。IOCから警告を受け、絵を消した過去がある。横断幕を掲出することにより、IOCから指摘を受けることは十分に予測できていた。
・横断幕の2枚目「虎が降りてくる」には右側(東側)に花びらと葉をわざと付け加えている。1枚目に指摘が入ることを事前に予測し、補筆までした2枚目を準備していた。
大韓体育会は2枚目に描かれていた花びらと葉を“独島”と公言しなかったため撤去を免れた。だが、真実を公言する度胸がないのであれば、横断幕を掲出すべきでなかった。