トランプ氏に代わる「実力政治家」不在
ジョー・バイデン米政権が発足して(保守派フォックス・ニューズ流に言えば、「ドナルド・トランプ氏が大統領の座を退いてから」)半年、新型コロナウイルス危機に対する大型経済対策やワクチン普及を追い風に米景気が回復している。
トランプ氏と同氏を支持する右翼ポピュリストは依然として「(大統領選での)トランプ勝利」を主張、共和党指導部を揺さぶり続けている。
党内保守本流にはトランプ氏と政治献金収集力、知名度、人気度で互角に戦える「実力政治家」はおらず、党内は「内戦」状態に陥っている。
政策はともかくとして、政治家を好き嫌いで選ぶ世論調査では、バイデン氏を好きだと答えた人は51.0%、トランプ氏が好きだと答えた人は42.3%。「嫌いだ」はバイデン氏が43.0%、トランプ氏は52.5%となっている。
それでも共和党で見ると、「好きだ」はトランプが42.3%でミッチ・マコネル上院院内総務(24.5%)、ケビン・マッカシー下院院内総務(20.7%)を大きく引き離している。
つまりトランプ氏に代わる「全米レベルの実力者」がいないのだ。
(https://www.realclearpolitics.com/epolls/other/other/FavorabilityRatingsPoliticalLeaders.html)
中間選挙を来年に控えて「このままでは共和党は親トランプ派候補を予備選に選び、選挙では惨敗する可能性がある」(共和党選挙対策関係筋)といった声をよそに、党内には「トランプの亡霊」(同筋)が徘徊し続けている。
日本史にも詳しい米メディアの元東京特派員A氏はこう表現する。
「トランプ支持派はいわば、大阪冬の陣で徳川勢に大阪城の外堀を埋められた豊臣秀頼勢。徳川勢の陣頭を指揮するのはナンシー・ペロシ下院議長。豊臣勢の石田三成はケビン・マッカーシー共和党下院院内総務」
「ペロシ氏、マッカーシー氏はともにカリフォルニア州選出のベテラン議員だ。ペロシ氏が選んだ舞台は1・6米議会乱入事件特別調査委員会だ」
「ここで同事件を教唆したのはトランプ氏であることを“立証”する舞台に設営し、党内トランプ派の粉砕に出た。いわば『大阪夏の陣』のようなものだ」