高騰しているソウルの不動産。持つものと持たざる者の格差が広がっている(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

 文在寅大統領は今年1月、新年の挨拶で不動産政策の失敗を正式に認めた。文在寅政権は2017年5月の発足以来、不動産価格を抑えるため投資抑制策を打ち出してきたが、ソウルのマンション価格の高騰は続いており、文在寅が繰り出す政策はほとんど機能していない。

 その中で、富裕層や値上がり前にマンションを取得したいわゆる「勝ち組」の不動産自慢が加速している。「漢南・ザ・ヒル○○○」「ツリーマゼ○○○」といった具合に、自分たちが住んでいるであろう首都圏の高級マンションの後に自分の名前をつけてSNSアカウントに載せる10~20代の間が増えているのだ。

 名門大学に大企業、高価なブランド品に外国産の高級車など韓国社会での勝ち組を象徴するアイコンはいろいろあるが、不動産はその一つ。特に、首都圏を中心に住宅価格が高騰している点を踏まえ、多くの若者が高級マンションに注目している。

 中には居住していないことを明かすユーザーもおり、実際に高級マンションに住んでいるかどうかは定かではない。だが、韓国には自分をよりよく見せる「誇示文化」が少なからず存在しており、高級マンションと自分の名前を並べることで、自分を大きく見せようとしているようだ。要は見栄である。

 若者が好んで名前を使っている一つ、ソウル漢南洞にある高級マンション群は、優れた立地にあることから大企業の役員や高官、医者のような専門職など富裕層が多く住んでいることで有名だ。有名男性アイドルグループや複数の芸能人、著名人など、韓国セレブが購入したことでも注目を集めている。

 マンションはソウルの中心に位置しており漢江を挟んですぐ上の龍山(ヨンサン)区にある。北の閑静な住宅街といった風情だ。

 高級マンションの売買価格は部屋の面積にもよるが、25~54億ウォンに達する(面積は通常20坪以上)。まさに有名芸能人や富裕層のためのセレブタウンだ。こういった物件は現金で買う人が主である。

 高級マンションは、上流階級の暮らしを象徴するアイコン的存在である。今回の若者のSNSトレンドは、社会の狭き門である「勝ち組枠」に憧れる世代心理もある。