新型コロナウイルス用のワクチン接種で鎮痛剤を使う人が増えているという

 新形コロナウイルス用ワクチン接種の予約が取れたので、発熱したときのために「解熱鎮痛剤」を買い求める人が増え、各地の薬局薬店で売薬が売り切れている――。

 そんな報道が流れています。この背景には、厚生労働省が6月25日、コロナワクチン接種後に発熱した場合、服用薬として従来は禁忌とされていた「非ステロイド性抗炎症薬」も可としたこと(https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0007.html)などが影響している可能性がありそうです。

 では、どうして非ステロイド系抗炎症薬は従来、新型コロナウイルス感染症で禁忌とされていたのでしょう?

 また、ここにきて厚生労働省はどうして「鎮痛解熱剤は何を飲んでも大丈夫」と、幅を広げるようなことをしたのか?

 その裏側を探ってみたいと思います。

熱は下げた方がよいか?

 ワクチンを打ったとき、熱が出るというのは免疫反応の一部ですから、理論的には、体温を下げてしまうと、せっかくのワクチン誘発性の抗体形成を遅らせたり、鈍らせたりする可能性が指摘されています。

 このため、米国のCDC(疾病予防管理センター)は、特に1回目のワクチン接種に先立って、鎮痛解熱剤などをあらかじめ投与しておくことを勧めていません。

 しかし、2度目のワクチン接種後は、発熱や悪寒など、全身反応が高い確率で起きるので、「鎮痛解熱剤の併用もやむなし」とか考えているようです。

 しかし、熱が出たとき解熱剤を使う理由はなぜなのでしょう?

 苦しいからなのか、早く良くなりたいからなのか。

 解熱の必要はいろいろあると思いますが、本質的には、39度、40度といった高熱が続いてしまうと、人間の体に不可逆の後遺症が残る懸念が一番大きな理由だと、ある生理学の大家から伺ったことがあります。