台湾・台北のワクチン接種会場にて(2021年6月15日、写真:ZUMA Press/アフロ)

(古森 義久:JFSS顧問、産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

「ありがとう 日本!」という桜色の大文字にはつい惹き込まれた。新聞の全面広告である。さらに同じ新聞の他の面には「感謝」という巨大な文字が桜色のハートを背景に踊っていた。

 産経新聞の6月13日の朝刊だった。同じ趣旨の全面広告が2面にわたり載っていたのだ。台湾の人々が日本からの新型コロナウイルスのワクチン贈呈に感謝する広告だった。

 日本政府が台湾に贈呈したコロナウイルスのワクチン124万回分への感謝を述べる台湾の民間一般による意見広告である。日本からのそのワクチンが台湾に着いたのはつい最近の6月4日だった。

 その1週間ほど後にもうこんな巨大な感謝の表明が日本の新聞に大きく出たのである。その背景には台湾がいまワクチンをいかに必要としていたか、そしてさらにその背景には台湾の官民が日ごろ日本にいかに善意や好感を抱いているか、という実態が存在する。