天守だけが見どころではない
誤解のないように断っておくけれど、筆者は浜松城をディスっているわけではない。この城の本丸周辺には、豊臣期の野面積みの石垣がよく残っている。これは、城好きなら一度は見ておきたい、大変に貴重な遺構である。天守だけが城の見どころではないのだ。それに、コンクリ製の天守閣は考証的にはアウトだが、3重の望楼型としたために、野面積みの石垣と景観的に無理なくマッチしている。遠目にカッコよく見えるのは、このためだ。

余ってしまった天守台や、一つしかない石落を〝ネタ〟として楽しみながら、この城の魅力をトータルに味わってみてはいかがだろう? ごく個人的な感想を述べるなら、浜松城のコンクリ天守閣には、超美人ではないけれど元気よく頑張っているご当地アイドルみたいな、健気な可愛らしさを感じてしまう。つい、応援したくなっちゃうのだ(笑)。

さて、こんな全国各地の「なんか変」な天守閣を楽しく紹介した本が、イカロス出版から発売になっている。『あやしい天守閣ベスト100城+α』(1650円)で、筆者も巻末に、あやしい一文を寄稿させていただいた。眺めているだけで楽しくなること請け合いの本なので、ご興味のある方はぜひ!
