(岡村進:人財育成コンサルタント・人財アジア代表取締役)
キャリアの半分以上を海外や外資系で過ごし、グローバル・エグゼクティブと仕事をしてきた私が、彼らから学んだ最も重要なことは「恥を捨てて質問する力」だった。
米国名門大学院で学んだ「質問と恥の関係」
それは日本の大手生保に勤めていた30代のころ、エグゼテクィブ用のMBAコースに通わせていただいたときだった。初回の講義で同級生が、ホワイトボードに記された「23」の数字を見て「その小さな3は何だ?」と質問したのだ。そこは米国の代表的な大学院のMBAだから、彼の質問は衝撃的だった。
そこにいる生徒の誰もがこう思ったことだろう。
「23=2×2×2、2の三乗でしょうが!!」
教授の表情に、一瞬、戸惑いと憐みが浮かんだように感じた。しかし、彼は胸を張って、「そういうことか。数学は苦手だからさぁ」と言い放ったのだ。
内にこもりがちな私は、そのやりとりを20数年経った今も鮮明に覚えている。人目を気にせず、聞きたいことを聞けるって本当に素晴らしいと深く感動したからだ。