(英エコノミスト誌 2021年5月1日号)

パンデミック後に消費が盛り上がる可能性が高い(写真はパリのデパート)

人々は財布のひもを緩め、リスクをこれまで以上に取る。そして政治家に多くを求めるようになる。

 フランスは1830年代の初め、コレラのパンデミック(大流行)に見舞われた。

 パリでは1カ月で市民の3%近くが死亡し、医師にも説明できない病に苦しむ患者たちで病院があふれかえった。

 この疫病の収束は経済の復興を促し、フランスは英国の後を追って産業革命に入った。

 だが、『レ・ミゼラブル』を読んだ人なら知っているように、このパンデミックは別の種類の革命にも寄与した。

 最もひどい打撃を被ったパリの貧しい人々が、感染を避けようと田舎の別荘に逃げていた富裕層への怒りを爆発させたのだ。

 フランスではその後何年も、政治の不安定な状況が続くこととなった。

先進国で始まった好景気

 現在、貧しい国々で新型コロナウイルス感染症「COVID-19」が猛威を振るっている傍らで、富める国々ではパンデミック後の景気拡大が始まろうとしている。

 ワクチン接種のおかげで入院患者や死亡者の数が減るにつれ、政府は外出規制の解除に動いている。

 米国経済の今年の成長率は6%を超えるとの予想が多く、パンデミック前のトレンドを少なくとも4ポイント上回ることになる。

 米国以外の国々も異例なほど高い成長率を記録すると見られる(図1参照)。

図1