米両院合同会議で初の演説を行ったバイデン大統領(4月28日、写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

米世論89%が「大統領にふさわしい演説」

 ジョー・バイデン米大統領は4月28日、議会上下院両院の合同会議で演説、「米国は再び動き出した」と述べて、新型コロナウイルス感染症対策や経済対策で成果が出ているとアピールした。

 大統領就任から100日を迎えての演説だった。新型コロナウイルスによるパンデミックのさなかとあって、抽選で選ばれた上下両院議員200人が出席する異例の議会演説となった。

 外交面では就任当初から見せた対中強硬スタンスを前面に押し出し、中国を専制政治と呼び、民主主義を掲げる米国および同盟国とともに競争力強化し「21世紀の戦いに勝ち抜く」決意を改めて強調した。

 しかし最優先で強調したのは雇用問題だ。

 バイデン氏は、「中間層がこの国を築いた」と述べて労働者層を重視する姿勢を強調し、雇用の創出に向けた巨額のインフラ投資や子育て世帯などを支援する大規模な予算計画を示して実現への理解を求めた。

 しかしながらこれだけ大規模なインフラ、社会福祉政策を実施するうえで先立つものはカネ。

 大企業や富裕層への優遇税制を堅持してきた共和党がおいそれと同意するわけがない。

 米国民は、4月28日のバイデン演説をどう受け止めたか。

 CBSテレビの世論調査によると、「大統領にふさわしい演説だった」と答えた人は89%。「支持する」は85%、「将来を楽観視する」は78%だった。CNNの世論調査でも「楽観視する」は71%だった。

 コロナ感染者も全米レベルでは激減、すでに2億回以上のワクチンが接種されている。日本で問題化している変種ウイルスについても米国ではそれほど騒がれていない。

 コロナ禍で自滅したとも言われているトランプ氏はこの演説をどう聞いたか。4月30日現在、肉声は聞こえてこない。