(北村 淳:軍事社会学者)
バイデン政権は“インド太平洋戦略”の根幹の1つとして、「クワッド」(アメリカ・オーストラリア・日本・インドの4カ国によって中国包囲網を構築する)構想を推し進めている。
この構想に実質的な効果はない。同盟国や友好国を引き込み、中国包囲網を築くことで、「やってる感」をアピールし、中国との直接的軍事対決を回避するのがアメリカの狙いである。
クワッド構想に頼るしかない日本
だが日本政府はクワッドに大きな期待を寄せている。
現状では東シナ海での軍事的優位や尖閣諸島の領有権を中国に奪取されることが確実になりつつあるにもかかわらず、日本政府は自ら的確な防衛戦略を打ち出すことができず、効果的な防衛組織の改編を推進する意思も持ち合わせていない。唯一の防衛戦略はアメリカの軍事力にすがりつくことだけである。