(出所:写真AC)

連載「実録・新型コロナウイルス集中治療の現場から」の第47回。まん延防止重点措置の対象エリアが広げられているが、第4波の拡大は止まる気配がない。最も厳しい状況に置かれている関西で重症患者の診療最前線に立つ瀬尾龍太郎医師に、讃井將満医師(自治医科大学附属さいたま医療センター副センター長)が現状を訊く。

 日本全国で新型コロナウイルス感染症の第4波が拡大しています。その中でもとくに厳しいのが関西です。神戸市の市立医療センター中央市民病院で重症患者の診療にあたっている瀬尾龍太郎先生に現在の状況などを伺いました。

瀬尾龍太郎(せお・りゅうたろう)氏
内科医、集中治療医。北海道大学医学部卒。
現在は、神戸市立医療センター中央市民病院において救命救急センター内ICU室長として勤務。レジデントノート増刊「集中治療の基本、まずはここから!」、INTENSIVIST 「特集:輸液・ボリューム管理」などの編集にも関わる。

イギリス型変異株の発生割合が上昇

讃井 神戸市の現在の状況から教えてください。

瀬尾 ひとことでいえば、これまでにない状況です。

 重症患者が急増して、4月上旬からは人工呼吸器の気管挿管を要する患者の収容場所がなかなか確保しにくくなり、中等症の病床で挿管患者を診るケースも出始めています。

讃井 入院できず、高齢者施設あるいは自宅にとどまるということも起こっているのでしょうか?