2018年12月にカナダで逮捕されたファーウェイの最高財務責任者、孟晩舟氏(2021年1月13日、写真:AP/アフロ)

(姫田 小夏:ジャーナリスト)

 2月12日、中国の通信機器大手「華為技術(ファーウェイ)」の孟晩舟CFO(最高財務責任者)の弁護団が、英HSBC(香港上海銀行)の帳簿を含む関連文書を入手するため、ロンドン高等裁判所に申請を行った。

 孟氏はファーウェイの創業者、任正非CEO氏の娘であり、カナダで事実上の軟禁状態に置かれてから、すでに2年が経っている。

 孟氏がカナダ警察に逮捕されたのは2018年12月のことだ。米国がZTE(中興通訊)に制裁を科すなど米中貿易戦争が深刻を増す中で、孟氏は複数のパスポートを使い分け、用心深く国際間を移動していたというが、米国の要請を受けたカナダ当局に逮捕されてしまった。

 当時、多くのメディアは「米国の輸出管理に違反してイランに通信設備を販売し、米国の制裁を回避するために詐欺と陰謀を企てたからだ」と報じた。中国外交部は孟氏の逮捕について、「中国国民の合法的かつ正当な権利の侵犯」だとして、米国とカナダ政府を強く非難した。

「HSBCに対する詐欺」の有無が争点に

 2020年1月20日に、カナダで孟氏の身柄引き渡しをめぐる公聴会が始まった。そこでまず孟氏の弁護団が主張したのは、「双方可罰性(二重犯罪)」に当てはまらないということだった。