(柳原 三佳・ノンフィクション作家)

 2月14日から、NHK大河ドラマ『青天を衝け』がスタートしました。

 ドラマは、吉沢亮さん演じる若き日の主人公・渋沢栄一と、高良健吾さん演じる栄一の従兄・渋沢喜作が、馬で通りかかった徳川慶喜に全速力で駆け寄って、直訴するシーンから始まります。そして、お話は渋沢の幼少時代へ・・・。

 母・ゑいが、幼い栄一に向き合い、
「あんたがうれしいだけじゃなくて、みんながうれしいのが一番なんだで」
 と諭すその言葉は、彼の人生にとって、生涯にわたる大きな礎となったことでしょう。

多面性を持つ渋沢栄一

 渋沢栄一は幕末から昭和にいたるまで、まさに激動の91年間を生きた人物です。

 2024年から発行される1万円札の肖像画のモデルとしても脚光を浴びていますが、彼の功績はあまりに多岐にわたっているため、一言で説明することは容易ではありません。

 500以上の会社を設立したという逸話を聞くだけでも、「一人の人生の中でこれだけのことが成し遂げられるのか・・・」と、ただただ驚くばかりです。