筆者も委員を務める内閣府再エネ規制総点検タスクフォースで、2月3日、電力需給問題に関する「緊急提言」を行い、この間違いを指摘した。会議には河野太郎大臣も参加し、ほかにも多くのデータを示し資源エネルギー庁などと議論している。資料と会議動画は以下で公開されているので、ぜひご覧いただけたらと思う。なお、念のためながら、本稿はタスクフォースとしての見解ではなく、筆者個人の見解だ。

(資料)https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/conference/energy/20210203/agenda.html
(動画)https://youtu.be/YaF0P9hgUP4?t=1540(「緊急提言」の説明は25:40頃から)

 間違った説明が、真相を隠す意図でなされたとは思わない。とりわけ異常事態の初期は、不明なことも多かっただろう。だが、少なくとも現時点で分析すれば、明らかに事実と違う。間違った原因説明は、的確な問題解決と再発防止の妨げになる。政府は早急に訂正を行うべきだ。

根本原因は「市場設計の欠陥」

 では、本当の原因は何だったのか?

 詳細は不明な点が多く、「緊急提言」でも徹底究明を求めているが、現時点で明らかなこともある。まず、売り入札が12月末に突如急減し、その後は売り切れ状態が続いたことだ。需給曲線の交差は垂直線上で生じ、売り札の最高額よりはるかに高い価格での約定が数週間にわたり継続した。いわゆる価格スパイクではなく、「世界中の電力市場の歴史上、ほぼ初めて」(安田陽・京都大学特任教授)とされる「市場の機能停止」状態に陥ったわけだ。*1

*1 https://project.nikkeibp.co.jp/energy/atcl/19/feature/00007/00048/

〈スポット市場の入札・約定量の変遷〉2020年12月1日~2021年2月3日
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〈2021年1月22日 9:00-9:30〉
(出典:上記2図とも)内閣府再エネ規制総点検タスクフォース(2月3日)・電力・ガス取引等監視委員会事務局提出資料
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/conference/energy/20210203/
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