(北村 淳:軍事社会学者)
1月6日に発生したアメリカ連邦議事堂での“叛乱(はんらん)”事件を受けて、アメリカ連邦下院議長のナンシー・ペロシ氏は、1月8日、アメリカ軍軍人トップの統合参謀本部議長マーク・ミリー大将と、トランプ大統領が核兵器を使用をさせない方策について話し合った。
またトランプ政権前半の国防長官を務めたジェームズ・マティス海兵隊退役大将も、国民軍としてのアメリカ軍の伝統を守るために、トランプ大統領を痛烈に批判している。
「錯乱した大統領はこの上なく危険」
ペロシ下院議長が公開した書簡によると、1月8日朝、ペロシ氏はミリー大将と「不安定な大統領が軍事的敵対行為を開始したり、発射コードにアクセスしたり、核攻撃を命じたりするのを防ぐための利用可能な予防策」について話し合ったという。
なぜそのような措置を検討したのかについて、彼女の書簡には「この錯乱した大統領の状態はこれ以上危険なものはないと言える。私たちは、私たちの国と私たちの民主主義に対する彼の不均衡な攻撃からアメリカ国民を守るためにできる限りのことをしなければなりません」と記してある。
このようにペロシ下院議長はトランプ大統領を「不安定な大統領」「錯乱した大統領」と呼んで、乱心している大統領に「核のボタン」を委ねるわけにはいかないため軍最高指導者と対策を協議したというのだ。ペロシ氏との協議は事実であることを、ミリー統合参謀本部議長は確認している。