民主党のジョー・バイデン氏が当選した2020年11月の米大統領選挙の結果を確定すべく、米連邦議会では最終手続きである選挙人投票集計が1月6日に行われた。その米連邦議会に、トランプ大統領に煽られて議事堂に向かった支持者の一部が乱入し、上下両院合同本会議の討議が中断される騒ぎとなったのは周知の通りである。群衆は排除されたが、現場で当局に撃たれたトランプ支持者の女性1人が死亡するなど、状況は混沌としている。
神聖な米議会にトランプ支持者が侵入し、議事を妨害したことに怒り心頭の民主党支持者の論客たちは、「共和党は、6日中にトランプ弾劾決議に賛成せよ」「マイク・ペンス副大統領は、米憲法修正第25条に定められた『副大統領が閣僚の過半数とともに、大統領の執行不能を宣言できる規定』を行使して、トランプ大統領を排除せよ」と迫っている。だが、現実にこれらが実現することはないだろう。
米議会は投票結果に基づき、粛々とバイデン氏を次期大統領として確定させ、1月20日には予定通り「バイデン大統領」が誕生する。トランプ大統領がホワイトハウスに居座ることを選択すれば、決められた時間に、これまでトランプ氏を警護してきたシークレットサービスにより、つまみ出されることになろう。
いずれにせよ、米国における民主主義のみっともない、ぶざまな失敗が世界中に改めて認識されたことで、中国の習近平・共産党中央軍事委員会主席やロシアのプーチン大統領、北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長などは、高笑いとともにオンラインで祝杯を交わしているのではないかとさえ思える。
こうした中、短期的には「就任式までに何が起こるか」「どのような就任式なるか」に関心が集まっているが、中長期的には「群衆を煽ったり、過去に不正や違法行為を働いたトランプ大統領の逮捕や訴追はあるのか」「米議会の騒動で米政局はどのように動いていくのか」「トランプ氏が2024年に大統領選挙に出馬することはあり得るのか」といった点が重要となる。