11月16日、デラウェア州ウィルミントンで、カマラ・ハリス氏を伴って記者会見するジョー・バイデン氏(写真:AP/アフロ)

(山田敏弘:国際ジャーナリスト)

 11月3日に大統領選が行われたアメリカ。実はアメリカの選挙では、大統領選挙と同時に、一部の上院議員の改選や下院議員選挙、さらに各州で裁判官の人事や地域の公立学校の幹部人事、法案の可否などに関する住民投票も実施されている。

 筆者は今回の米大統領選を米国各地で取材したのだが、例えばカリフォルニア州ロサンゼルス郡では、企業が個人情報の利用を制限するかどうかといった法改正の賛否を問う投票項目もあった(写真参考)。

 アメリカでは地方自治が発展しており、各地域が投票によって自分たちの暮らす地域を作っていくという感覚がある。

 その中で特に今回の選挙では、大統領や議会選挙以外で、各地で「麻薬」に絡む法律の緩和が問われたことも注目されていた。投票終了後には、大統領選の開票速報とともに、地方TV局では住民投票の結果も次々と報じられていた。そして実は、大統領選の混乱の影に隠れてはいるが、今回の選挙で麻薬取り締まりに関して日本では考えにくい驚きの変化が起きていたのである。

オレゴン州ではヘロインやコカインまで「非犯罪化」が決定

 その中でも特に世界的にも驚きを持って取り上げられていたのが、オレゴン州の規制緩和だ。

 オレゴン州では、ハードドラッグと呼ばれる依存度の強い麻薬であるヘロインやコカイン、さらに覚醒剤などを含むすべての麻薬が賛成多数で「非犯罪化」されることになったのである。さらに治療目的で、幻覚作用のあるマジックマッシュルームの使用も「合法化」される。