2016年世界フィギュアスケート選手権でSP「インカンテーション」を演じる本郷理華。(写真:7044/アフロ)
(取材・文:松原 孝臣 撮影:積 紫乃)
最初は営業職から
フィギュアスケーターのメイクのサポートという重要な役割を石井勲は担ってきた。
2007年に始まり、すでに十数年の年月が経つ石井は、コーセーに就職したときは営業職にあった。メイクに興味があり化粧品会社であるコーセーに入社したため、当初はメイクができる営業を目指していた。
「ですから入社後、メイクがしたいと言い続けました。様々な方とご縁があり、念願叶ってメイクアップアーティストの世界に進むことになりました」
その後、自分なりに勉強も重ねた。
「メイク技術に関する知識はほとんどなかったので、アイカラーの入れ方、リップラインのひき方をはじめ、社内の美容教育担当、先輩や上司に同行しながら、見て学び、聞いて学びを繰り返しました。膨らませた風船をモデルに、リップを塗るのを繰り返し練習したりもしました。動く風船にどんな力加減でタッチすれば上手くいくのかという練習です」
意思を明確に示すこと、それに伴う努力をすること。その2点を支えに、石井は念願のメイクアップの世界へと足を踏み入れた。そしてフィギュアスケートと、メイクアップアーティストという立場で接してきた。