筆者は、2005年4月から2007年3月までの約2年間、モスクワにて勤務していた。その時に悩まされていた3大要素が、インフレ、ルーブル高、渋滞である。
その3大要素のうち、ルーブル高については、昨年(2008年)夏以降、グルジア紛争、金融危機のロシアへの波及に伴ってルーブルが急落したことにより、今や過去のものとなった。
また、渋滞についても、緩和に向かっているようである。以前、モスクワの中心部からシェレメチェヴォ国際空港まで、所要時間は「2時間以上、無限大未満」と冗談めかしていわれていたが、最近ではめっきり渋滞が減少し、40分程度となったという(2月18日付モスクワタイムズ)。
これらの事象に象徴されるように、ロシア経済は現在、激変の時代を迎えている。
2009年政府経済見通しの変遷
激変しつつあるロシア経済を受けて、ロシア政府による2009年経済成長の見通しは、2008年8月から2009年2月にかけて3回も下方修正されている。
2008年8月時点での見通しでは、実質GDP成長率は6.7%、想定原油価格(ウラル銘柄)は95ドル/バレルであった。ウラル原油は、8月時点ではまだ100ドルを上回る水準にあり、95ドルという想定は現実的なものであった。