(楠本 和矢:博報堂コンサルティング執行役員、HR Design Lab.代表)

 皆さんこんにちは。HR Design Lab.の楠本和矢です。本連載では、「部下とのコミュニケーション力」に不安を感じるマネジャー、ミドルマネジャーの方を対象に、ビジネスの様々な場面で使える、アサーティブコミュニケーションの「コツ」を解説しています。

「アサーティブ」はやや曖昧な概念として位置付けられてきましたが、今日では「適切な自己主張」「自他を尊重した自己表現」という解釈が一般的となっています。前回(「あれはどうなった?許してはいけない部下の返事とは」https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/62042)は、「アサーティブコミュニケーション」についての定義(「組織やリーダーの方針や指示を正しく理解させ、かつ納得感を持って受け入れさせるためのコミュニケーションスキル」)と、その定義に基づいた「6つのスキル」についてリストアップしました。

◎アサーティブコミュニケーション『6つのスキル』
(1)仕事そのものについての「大前提」を共有する
(2)指示内容についての「捉え方」を揃える
(3)指示に基づき取り組む「意義」を理解させる
(4)指示を出す上長(自分)に対する「共感」を得る
(5)指示内容の「重要イシュー」を考えさせる
(6)指示に基づく成果に応じて正しく「評価」を行う

 前回は、(1)と(2)について解説を行いました。今回は残りの4つについて解説していきます。

【スキル(3)】指示に基づき取り組む「意義」を理解させる

 部下に対して正しく指示を与えたら、後はしっかりやってくれる・・・と思うのは早計です。スキル(2)で説明した方法を踏まえ、指示内容に関する認識を揃えても、まだ、その指示自体に「納得できない理由」が残っている可能性があるからです。

 考えられる理由とは、「自分がその指示を聞いて動くことの必然性」について納得できていない、ということです。面従腹背はよくある話です。指示内容に対する必然性を理解しないまま行う作業に高いパフォーマンスは期待できないし、このようなストレスを部下に与え続けてしまうと離職リスクにも繋がります。

 それについて納得させるために、例えば以下のようなアプローチがあります。