昨年12月、中国・香港で行われたウイグル人収容所に対する抗議運動(写真:ロイター/アフロ)

(PanAsiaNews:大塚 智彦)

 インドネシア出入国管理当局が9月にテロ関連容疑で有罪判決を受けてインドネシアの刑務所に服役していたウイグル族4人を、密かに中国に強制送還していたことが一部マスコミの報道で明らかになり、人権団体やウイグル族支援組織などから「重大な人権侵害にあたる」と批判を浴びている。

 判決で4人に科された罰金は中国大使館が代わりに支払ったとされていることから、インドネシア政府が最終的にウイグル族4人を中国の求めに応じて釈放、強制退去処分にしたとみられている。

 中国大使館、インドネシア外務省、入国管理局を管轄する法務人権省のいずれも「ウイグル族4人の中国への強制送還」に関して口をつぐんでおり、人権上問題があることを知った上でインドネシア側が密かに送還したことは確実のようだ。

インドネシア国内メディアが伝えぬ事実

 これは10月23日に米政府系放送局「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」ネット版が特報の形で伝えたもので、インドネシアのメディアではこれまでのところ報道された形跡はない。

 RFAによると、ウイグル族4人は2015年にテロ関連法違反容疑と不法入国容疑で逮捕され、ジャカルタ地裁で「禁固6年と罰金1億ルピア(約71万円)」の有罪判決を受けて服役中だった。罰金は未納状態が続いていたという。

 4人が服役していたのは中部ジャワ州南海岸沖の島にあるヌサカンバン刑務所で、テロ犯罪者や麻薬犯罪で死刑判決を受けた服役囚など重大犯が収監されるインドネシア国内でも有数の警備が厳重な刑務所として知られている。