ライフサイクルファンドのケーススタディ
以下の表は、実在するライフサイクルファンドの資産配分です。
表の上から、時間の経過(節目)、時間の節目での基準価額、そして資産の内訳です。表の末尾には、償還時を高校3年生としたときの、時間の節目でのお子様の学齢を書きました。
販売開始の時は、ファンドの中身、つまりファンドの投資対象になっている資産の割合は、国内株式30%と外国株式30%なので、株式が6割を占めています。
一般に、株式は債券より高い利益が期待できますが、短期的な値動きが大きく、価格がマイナスになる可能性も債券より高くなります。株式の割合が高いほど、いわゆる「リスクが高い」運用となります。
そして、運用が始まってからわずか2年で、株式の割合は4割に減らしています。
気になる運用成績ですが、本稿の執筆時点(2020年9月25日)の基準価額は11,601円と、上の表に載せた数字だけをご覧いただくと、順調そうに見えます。
ところが、実はこのライフサイクルファンド、開始してからの2年間は、決して順調といえる状況ではありませんでした。スタートしてから、半年ほど経つか経たないかのうちに、基準価額が9,401円まで下がっていたのです。
とはいうものの、基準価額9,401円の時点が、このライフサイクルファンドが今までで最も不調(若者風に言えば絶不調)な時でした。その後に基準価額はプラスになっているので、筆者なら「ほほぉー、これがバランス型ファンド(ライフサイクルファンドはバランス型ファンドの一つ)の実力かぁ」などと唸ってしまうところです。
しかし、大切なお子様の将来の教育資金を準備を託した親御様にとっては、ハラハラドキドキご心配なさることでしょうね。
ところで、もう一つ過去の心配な時期といえば、今から半年ほど前、新型コロナウイルス感染症により、株価はもちろん、債券価格まで下がった頃です。このライフサイクルファンドの基準価額もコロナの影響で10,342円まで下がりましたが、それでも販売開始した時の10,000円を超えています。
その後は、先述の通り、本稿の執筆時点(2020年9月25日)で基準価額が11,601円です。販売開始から紆余曲折はあるにせよ、基準価額だけを追えば、今までのところ、ベストとは言わないまでも、教育資金準備を目的とした投資としては悪くないのではないでしょうか?
あくまでも、今までのところ、ですよ。
ところで、来年(2021年)行われるであろう東京オリンピックの直前まで、このライフサイクルファンドの投資対象になっている資産のうち4割を株式が占めていますが、2021年夏以後は債券を8割としてリスク(値動き)を減らし、ターゲットイヤーの2025年、そして2028年の償還という、このライフサイクルファンドのゴールまで走り抜くことになります。
このライフサイクルファンドは、今後、どのような投資の成果を示すのか? 筆者が本稿の連載を続けることができたなら、検証してみたいものです(笑)。