ところで、ライフサイクルファンドで積立投資を行うと

 さて、前稿ではお子様の教育資金を準備を投資で行う場合、「積立投資がふさわしい」と申し上げました。そこで、本稿で挙げたライフサイクルファンドで積立投資のシミュレーションを行ってみました。

投資期間 2015.9.30~2020.8.31
投資方法 積立投資
毎月の投資額※1 (~2019. 9.30)9,784円
(2020.10.31~)9,780円
毎月の投資時期 毎月の最終営業日
投資額の合計※1 586,996円
投資額+購入時手数料の合計 600,000円
基準価額の平均 10,811円
取得口数の合計 545,445口
損益分岐点 10,762円
執筆時点で解約した場合に得られる額※2 632,771円

※1 投資額は購入時手数料を考慮しています。
※2 税金等は考慮していません。なお、信託財産留保額はありません。

 損益分岐点は基準価額の平均を下回っていますし、投資額+購入時手数料の合計に対して、執筆時点で解約した場合に得られる額の方が上回っています。
 もっとも、積立投資の期間が5年と、筆者に言わせれば短いですし、またターゲットイヤーや償還の日はまだ先のことですから、ここで結論を申し上げることはできません。

 しかし、17回目でも申し上げましたが積立投資は、どちらかと言えば基準価額の上下の振れ幅が大きな投資商品の方が向く傾向にあります。基準価額の上下の振れ幅が大きいからこそ、時間を掛け、時間の経過とともに投資する回数を増やすことで、損益分岐点を引き下げようという趣旨です。

 そもそもバランス型ファンドは、性格の異なる資産を組み合わせることで、基準価額の上下の振れ幅を抑えようというコンセプトです。また、ライフサイクルファンドは時間の経過とともに、基準価額の上下の振れ幅を抑える傾向を、より強めていくコンセプトの投資商品です。
いかがでしょうか?

 筆者は、ライフサイクルファンドは積立投資には向いていないのではないかと思います。

ライフサイクルファンドと純資産残高

 さて、ライフサイクルファンドですが、意外にも純資産残高が少なめな商品が多いようにも感じます。ちなみに、本稿でご紹介させていただいたライフサイクルファンドも、純資産残高は1億円を少し超えるほどです。

 純資産残高が少ないと、ファンドを維持、続けていくのが難しい場合が多いようです。純資産残高の多寡の目安は一概には言えませんが、それにしても1億円は少ないように思います。

 また、過去に、やはり純資産残高が少ないためか、ターゲットイヤーを目前にして、繰り上げ償還を行ったライフサイクルファンドもあるようです。繰り上げ償還とは、運用を行っている会社の事情で、ファンドによる運用を止めてしまうことです。

まとめに代えて

 ライフサイクルファンドは欧米では「ヒット商品」と聞いておりました。我が国ではヒット商品というイメージがありませんでしたが、やはり純資産残高が少ない商品が目立ちました。

 お子様の教育資金を準備なさる場合、すでに学資保険などを契約済みの方や、家計の事情で積立投資が難しい方は、ワンショット(一回限り)で、ライフサイクルファンドを選ぶと良いかもしれません。例えワンショットでも、ライフサイクルファンドは1万円から投資することができます。

 とはいえ、なるべく純資産残高が多いものを検討なさった方が良いでしょう。
 また、投資額が3万円や5万円などの場合は、一万円ずつ、複数回に分けて投資なさった方が良いでしょう。

 大切なお子様の将来の教育資金です。投資は未知の未来への投資であることは、ライフサイクルファンドも同じです。