米国・ワシントンにある連邦最高裁判所

(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

 米国のトランプ大統領が、病死した最高裁のルース・ベイダー・ギンズバーグ判事の後任として、エイミー・コニー・バレット判事を9月26日に指名した。この指名により、トランプ大統領は11月の大統領選に向けて有利な材料を得る見通しとなった。

 バレット判事は48歳の女性で、ギンズバーグ判事がリベラル派だったのに対し、明確な保守派である。人口妊娠中絶、銃砲規制、国民医療皆保険、違法移民対策などで共和党やトランプ政権の考えに近いことで知られる。

トランプ大統領が最高裁判事に指名したエイミー・コニー・バレット氏(写真:picture alliance/アフロ)

猛反対する民主党・バイデン陣営

 この最高裁新判事の人選は、大統領選で対決する民主党のバイデン陣営との間で、さらに激烈な衝突をもたらした。米国の現実の政治を大きく動かしうる最高裁判所の9人の判事は、今まで保守派が5人、リベラル派が4人だった。バレット判事の就任が決まると、保守6、リベラル3と、さらにトランプ陣営に有利に傾くことになる。だから民主党としては、トランプ大統領がこのタイミングで新判事を指名することに反対し、11月の大統領選挙で民意を確かめてからの新指名を要求しているわけだ。