山田医師の鑑定で有罪となった男性が東京高裁に控訴
「揺さぶられっ子症候群」裁判の取材を続けてきて痛感するのは、多くの事件が「児童虐待の専門家」として活躍している一部の医師の意見に大きな影響を受けているのではないかということです。
2019年末、孫への虐待を疑われていた祖母が、大阪高裁で逆転無罪判決を勝ち取りましたが、この事件でも、検察側は脳の専門家ではなく、小児科医を証人として採用していました。以下は、同事件をレポートした筆者の記事です。
<相次ぐ逆転無罪、「揺さぶられっ子症候群」妄信の罪
脳は専門外「小児科医」の意見を有罪の根拠とする検察の暴挙>(2020.2.21)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/59423
虐待でけがをしたり、命を落としたりする子どもを一人でも減らすための活動は尊いことで、こうした医師らの取り組みについては敬意を表しています。
しかし、刑事裁判において、専門外の分野にまで断定的な意見を述べ、さらには、裁判官でもないのに、鑑定書の中で『せめてもの償いとして、犯してしまった暴力について真実を語るべきだ』などと、無実を訴える母親を断罪してよいのでしょうか。
日常の子育ての中で、不慮の事故、というものは絶対にあり得ないものなのでしょうか。
山田不二子医師はそのほかにも、多数の虐待事件において検察側の証人として鑑定意見書を書き、証人尋問に立っています。過去には、有罪判決も複数出ています。
そのうちのひとつに、知人の子どもへの虐待を疑われて起訴された男性(38)の事件があります。
昨年12月、東京地裁立川支部で懲役3年の実刑判決が下されましたが、逮捕時から一貫して無実を訴えていた男性は即控訴し、東京高裁での控訴審が9月29日午前11時、805号法廷で開かれる予定です。
この事件、弁護側の証人は奇しくも、岐阜の事件で証言台に立った脳神経外科の青木信彦医師です。
山田医師と青木医師の意見の対立を、東京高裁がどう判断するのか、引き続き注目していきたいと思います。