韓国の金大中(キム・デジュン)元大統領の三男、金弘傑(キム・ホンゴル)共に民主党議員が不動産投機疑惑で党から除名処分を受けた。不動産価格の高騰と格闘している文在寅(ムン・ジェイン)政権と与党にとって、金氏の問題は大きな負担になると判断したのだ。
金大中元大統領の3人の息子のうち、末っ子の金弘傑議員(56歳)は、金元大統領と李姫鎬(イ・ヒホ)女史との間で生まれた唯一の子供だ。金大中政権末期の2002年、米国留学中だった金弘傑氏は建築承認などの名目で建設業者から36億ウォンあまりの賄賂を受け取った容疑で拘束されたが、半年後に執行猶予で釈放された。後に、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権によって赦免・復権された。
その後、政治的な活動がほとんどなかった金弘傑氏は、2016年に民主党に入党した。当時、金大中派閥である東橋洞系が親文在寅派閥との対立の末に大挙離党すると、支持基盤の全羅道地域の民心を憂慮した親文勢力は、金大中元大統領の息子である金弘傑氏の入党を推進したのだ。その後、金弘傑氏は2020年の総選挙で与党の比例代表候補として電撃的に抜てきされ、今年7月に国会入りした。2世国会議員としての華々しい政治人生がスタートしたところだった。
住宅価格高騰中の韓国で不動産過多保有は政治家にとって命取り
ところが、金氏は国会議員になるやいなや、財産申告漏れ問題と不動産投機などの疑惑に巻き込まれた。急騰を続けている不動産市場や住宅価格問題は、文在寅政権の最大の難題とされている。文政権はこれまで20回以上の政策を打ち出しながらも、市場を安定させることに失敗している。その上、不動産政策の失敗がかえって江南(カンナム)などソウルの中心地に住宅を所有している政権関係者たちに莫大な利益を与えているという批判も強い。
そこで、大統領府は今年8月、2住宅以上を所有している大統領府の首席を全員、1住宅者あるいは無住宅者に入れ替える人事を断行した。専門性や実力よりも、「不動産を何軒保有しているか」が人事の最も重要な基準になっているコメディのような人事だったが、それこそ文政権が不動産問題をどれほど深刻に受け止めているかを物語っているとも言える。