今年5月29日、元慰安婦支援団体の不正会計疑惑について記者会見する尹美香氏(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

(赤石晋一郎:ジャーナリスト)

 尹美香(ユン・ミヒャン)議員が9月14日、詐欺や業務上横領の罪で在宅起訴された。尹氏は挺対協(現・日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯、通称「正義連」)の元理事長であり、慰安婦問題における最大のキーマンだった人物だ。

 韓国検察の発表によれば、元慰安婦の海外渡航費や弔慰金の名目で集めた寄付金を私的流用するなど、合わせて約1億ウォンを横領した疑いが持たれている、という。

「通常は起訴発表のとき、部長検事の名前で発表をしますが、今回はソウル西部地検長(女性)の名前でメディアに尹美香起訴のリリースを出しています。これは地検長が陣頭指揮を執るということを意味しており、検察の立件への決意は固いのではないかと言われています」(韓国人ジャーナリスト)

 検察が起訴したのは詐欺などの8件の容疑についてだが、その大部分がカネにまつわる問題だ。

「いまの挺対協は金儲け一途の団体でしかありません。全てはカネ・カネ・カネ。いずれお金に敷かれて彼女らは死ぬわ」

 2019年に私は金文淑氏にインタビューをした。およそ1年前、金文淑氏は挺対協が金銭問題で危機に陥ることを予言していた。

私財投じて慰安婦支援施設を運営する“重鎮”

 金文淑氏は長らく慰安婦問題に取組み、韓国内では“慰安婦問題の重鎮”と評される人物だ。

 彼女は釜山市内で私財を投入して設立した「日本軍慰安婦のための民族と女性の歴史館」を運営している。90歳を超えたいまなお、歴史館で教育活動等を精力的にこなし、講演活動に勤しむ。

 韓国映画『Herstory』は、釜山従軍慰安婦・女子勤労挺身隊公式謝罪請求訴訟(通称・関釜裁判)を起こし、日本政府の責任を追及した金文淑氏の物語がモデルとなっている。釜山市の名士として、今でも多くの人から敬意を払われている。

金文淑さんがモデルとなった映画『Herstory』のポスター