テーマ4 これからの投資のポイント

 柳谷 お金に対する考え方や置かれている状況は人それぞれですから、誰にとってもこれが正解という答えはありません。ただ、1つ言えるとすれば、社会、企業、人の成長にこそリターンの源泉があるということです。中にはすぐに成長するものもあるかもしれませんが、多くはそうではありません。自分なりのゴールを目指して、ゆっくりとした時間軸と姿勢で継続して取り組むことが重要ではないかと思います。

  投資を始める前に、そもそもなぜ自分が投資するのかを考えることが大切です。例えば老後の資金を確保することが目的で株式投資をするなら、日経平均株価の日々の変動を気にしても仕方ないですし、あまり意味がありません。

 ゴールを達成するために重要なことは、コントロールできることとできないことを区別すること。コントロールできることとしては、たくさんの銘柄に投資することによるリスク分散、規律ある積立投資プランなどが思いつきます。一方、コントロールできないものの代表格は株式市場を予測することです。

 柳谷 コントロールできないことに一喜一憂するのは投資家にとって何もプラスをもたらしません。長期、資産分散、時間分散という投資の原則がこれからも重要なポイントであり続けるでしょう。

柳谷俊郎さん
「Credit(信用)」より「Trust(信頼)」を大切に

 柳谷 金融の世界では「Credit(信用)」という言葉がよく使われますが、個人の皆さんには「Trust(信頼)」を大切に投資に臨んでいただきたいと思います。信頼の置ける人や企業には、長期の時間軸があります。コロナ禍という未曽有の事態に私たちは直面していますが、不安のない時代など今までもなかったでしょう。これからも不安とは付き合い続けなければならず、そのためには信頼できる人のアドバイスを生かすことが大切ではないかと思います。

  長期投資では金融商品を提供する企業やアドバイザーとの付き合いも長期になることが想定されます。商品・サービスを提供する側も短期的な利益を追求するのではなく、長期的な視点からお客様とウィンウィンの関係を築けるよう努力することがより重要になってくると感じています。