テーマ3 働き方と継続する投資の仕方
柳谷 以前であれば、このようにオンラインで対談をすることは想像もしませんでした。リモートワークを始めて、社内のコミュニケーションの変化を感じています。会議室で行うミーティング中は誰も発言せず、終わったとたんにいろいろな人が話し出すのを常々不思議に思っていましたが、オンラインのミーティングでは活発な意見交換ができています。オンライン、オフラインのどちらかという選択ではなく、どちらもというのが正解のようです。ORではなくANDの発想で柔軟な働き方ができるようになってきました。
濱 働き方にとっても経営者にとっても、さまざまな選択肢があることは好ましいことです。今まで手間をかけて行ってきた作業が本当に意味のあることなのか改めて検証する良い機会ですね。当社でも全社的にリモートワークを実施しています。最初は不安もありましたが、思った以上に多くのことができるなというのが率直な感想です。今後、オンラインとオフラインを自由に選べるようになったとき、効率的な選択をしていくことでより生産性が向上すると期待しています。
柳谷 たしかに、過去のやり方のまま生産性を上げるのは至難の業でした。私も難しさを感じていましたが、今回の変化で劇的に変わりそうです。5時半に帰りなさいということに何の意味もないことにもっと早く気づくべきでしたね(笑)。
柳谷 先ほど申し上げた通り、日本のコーポレートガバナンス対応には長期的視点が欠けている場合がありました。しかし、企業が持続的に成長するためには、社会や環境を無視できないことは何年も前から分かっていたはずです。
環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)に配慮したESG経営は世界のスタンダードになっています。長期的な社会貢献を前提としない企業はもはや必要ないと考えられているのです。
したがって、投資対象としての企業が成果を上げ、利益を分け与えてもらうことも長期的になっていきます。これまで日本ではESGファンドをエコファンド(環境に配慮する企業に投資する投資信託)のようなテーマに過ぎないととらえてきましたが、これからはESGを考慮した投資先選びが欠かせなくなってくるでしょう。
濱 おっしゃる通り、長期的には社会貢献を前提とする企業が評価され、生き残ると思います。企業の経営という観点では、これまで以上にEとSに関するリスクに適切に対応することが重要になっていきます。そのためには取締役会の構成など、それにふさわしいGが求められますので、ガバナンスに関する議論も引き続き活発になると望ましいと感じています。
柳谷 EやSに関して何をするかが注目されがちですが、その方向性を決めるGを整備することも重要なことですね。