こうした取り組みを始めたのも、業界内の広告のマナーがあまりに悪質だからだ。

 とあるコーチング英会話教室はネット広告で「総合満足度」において「業界首位」という趣旨を謳っている。「総合満足度」というからには、コーチング英会話を受講したユーザーが感じたサービス満足度かと思いがちだが、そうではなかった。

 同社のプレスリリースによれば「英会話コーチングサービス10社を対象にしたサイト比較イメージ調査」だという。つまりサイトを比較した結果、最も良いとイメージされたものに過ぎなかった。しかも調査対象者となったサンプルは20~79歳の全国の会社経営者や会社員1079名だという。スクールの受講者でもなんでもない人たちだった。

 調査会社の中には、「業界トップ」と銘打てる調査結果を弾き出すことをサービス内容としている会社がある。その調査がサービスや商品に関することならいいのだが、サービスや商品と関係のないサイトのイメージだった場合に、消費者に向け「トップ」や「首位」を謳うことは適切なのか。

 業界団体としては、加盟社に対してこうした宣伝方法を使わないよう要請するしかないが、非加盟団体にはその要請すら届かない現状がある。

客観性乏しい謳い文句

 またこうした宣伝と同様に三木氏が問題視しているのが、各スクールを評価する口コミサイトやアフィリエイトによる比較サイトの中に、ステルスマーケティングを疑われるようなケースが少なくないことだ。

 例えば、あるアフィリエイターが多くの英会話教室、スクールに足を運んで作成したという英会話スクールのランキング記事がある。実際にスクールに出向いたり、サービスの中身について言及したりしているので消費者にとっては参考になりそうな記事なのだが、この記事が公開される以前に、あるスクールに付き合いのある広告代理店から妙なメールが来たという。この記事のランキングで上位3位以内に掲載してほしい場合は、現在の広告用に成功報酬を上乗せしてほしい、との内容だったという。

 このスクールはその要請に応じなかったためか、当該記事のランキングではもう少し下のランクで紹介されていた。ただ、ランキングはアフィリエイター個人の評価によるものとはいえ、広告料金でランキングが変動するのでは消費者にとって適切な情報とは言えまい。

 また、アフィリエイト広告を掲載しているスクールを取り上げ、競合スクールと比較しながら、「お薦めは絶対こちら」などと広告のスクールを紹介しているブログもある。これだと、果たして推薦する根拠が妥当なものかどうか怪しくなってくる。