韓国で新型コロナの感染が再び広がりをみせる中、文在寅(ムン・ジェイン)大統領がコロナ政局の前面に立ち、再び支持率を引き上げている。その一方で、「文在寅政権のコロナ防疫は極めて政治的だ」という厳しい非難も受ける事態になっている。
第2波が猛威
27日、韓国のコロナ新規感染者数は371人で前日の440人に比べてやや減ったものの、依然として爆発的な様相を呈している。さらにこの日を境に、ソウル、京畿道、仁川(インチョン)といった首都圏の累積感染者が7200人となり、今年2月に新天地教会から始まった大邱(テグ)の感染者数(7007人)を超えてしまった。
韓国の第2波と呼ぶべき今回の感染拡大の舞台が、人口の過半数が集中する首都圏となったことで、政治、経済、放送などあらゆる分野で深刻な影響が出ている。国会担当記者の中にコロナ感染者が出たことから、26日からは国会がシャットダウンされたし、サムスン電子やLG電子などの大手企業は全面的なテレワークに入った。
世界的なコロナパンデミックにもびくともしなかった韓国の芸能界からも、相次いで感染者が出ている。すでに放送局はドラマの制作を中断しており、グローバルOTT*社であるNetflixも、当面の韓国コンテンツの制作中断を宣言するなど、Kコンテンツ産業まで脅かされている。
*OTT=オーバー・ザ・トップ:ケーブルや衛星を介せずインターネットで番組やコンテンツを配信するサービス
このようなコロナ禍で文在寅政権は、コロナの拡散の原因を8月15日光化門(クァンファムン)で開催された保守団体の反政府集会のせいにすることで、国民の非難を保守野党や保守系団体に集中させることにひとまず成功しているのだ。