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「最近の新卒社員は入社しても、優秀な人からすぐに退社してしまう。彼らを説得して退職を思いとどまらせる一方、長年一緒にやってきた同世代の肩を叩かなくてはならない・・・」
ここ数年、大企業の人事担当役員からこのような嘆きを聞く機会が多くなった。
大企業の人事担当役員となると、50代半ばくらいであろうか。私と同世代のバブル真っ只中の入社組も多い。
当時、大量採用された50代は現在も大企業に多数いる。若者を引き留めつつ、自分の同期や先輩・後輩を見送っていくのは、人事担当としては頭も胸も痛いことだろう。
若者にロイヤリティを求める方が無理
最近の若者は会社へのロイヤリティが低いと言われる。
ここ四半世紀の流れを見てみると無理もない。逆にロイヤリティが出る方が不思議である。
1980年代半ばから90年前半に大量採用したものの、その後バブル崩壊。しばらくは採用が縮小。95年辺りからは、大手企業がリストラを次々と発表し、新聞でも大問題になった。
当時の世論は、今よりはるかにリストラに対して厳しい意見が多かった。
いったん発表したリストラ案を世論圧力で撤回した企業も存在した。しかし、今ではそこまでの風潮はない。
そして2000年にはITバブル崩壊、9.11の同時多発テロ。その後リーマンショック、東日本大震災と、バブル崩壊以降、何かあるたびに自分の親世代がリストラされていくのを今の若者たちは子供の頃から見ている。
そういう彼らにロイヤリティを求めるには無理がある。