「預金なら安心」って本当なの? 「元本保証」って、実際に何を保障してくれるの? 実は、現金にもリスクが潜んでいるのです。本連載ではそんな「現金のリスク」を切り口に、お金のほんとうの価値を守るための資産運用について考えていきます。今回は、シリーズ「見せてもらおうか!積立投資の実力とやらを」の番外編と題して、毎月分配型(毎月決算型)の投資信託の使い方を考察します。
さて、本稿では「毎月分配型(毎月決算型)のファンド」について、少しだけ考えてみたいと思います。
毎月分配型、または毎月決算型の投資信託とは、その名の通り、毎月1回「分配金」が支払われるタイプのファンドです。運用状況が悪いときには分配金が出ない場合もありますが、多くの毎月分配型ファンドは、分配金を毎月ほぼ必ず投資家に支払っています。投資家にとって分配金は「利益」ではなく、あくまで「運用資金の一部の払い出し」である点には注意が必要です。
毎月分配型ファンドというと、FP(ファイナンシャルプランナー)などの専門家から揶揄され、そして金融庁からも指摘があった、評判が微妙なファンドです。が、やり方によっては、毎月分配型ファンドでもパフォーマンスを挙げられることをお伝えしたいと思います。
「毎月分配型ファンド」の沿革
まず、毎月分配型ファンドの沿革について、筆者の記憶を辿ってみたいと思います。
毎月分配型ファンドは、その昔……リーマン・ショック以前の2000ヒト桁代の時代に、数兆円の資金を集めたファンドもあり、まさに一世を風靡しました。投資資金に充てられたのは、主に退職金だったとか。「(今よりは未だマシだったけど)低金利への、運用による不満解消」と「毎月の分配金による運用資金の計画的な取り崩し」がセールストークだったような記憶があります。
しかし、リーマン・ショックの前後から、FPなどの専門家から「タコ足ファンド」と揶揄されるようになり、2010年代半ばには、当局から「運用の成果に関わらず、長期運用の点から観ても、毎月、分配金を出すのは好ましからず」という「指摘」がなされました。
その「指摘」が活かされている(?)のが、やはり、2010年代の半ばに登場した「つみたてNISA」の対象商品の要件だと考えらえます。「分配頻度が毎月でないこと」という要件が、しっかりと明記されていますからね。