ファンド(=投資信託)の分配金について、少しおさらい

 ところで、ファンドの分配金を「インカムゲイン」というのは、少し微妙かも知れません。
 そもそも、インカムゲインというのは「保有期間中に得ることができる収益」のことです。
 分配金はファンドを保有していなければ得ることができませんし、分配金が「収益」であるならば、インカムゲインには違いないのですが。
 ファンドの分配金とは「利益の分配」というよりも、「ファンドの一部解約」という方が正確な表現だと、筆者は思っています。分配金が出ると、少なくとも分配金の分だけ基準価額が下がりますから(実際には、分配金支払い後の基準価額に、その日の運用損益が加わります)。

 ということは。
 「分配金による同じファンドの買い増し」によってファンドの口数が増えていくのは先述の通りです。「ファンドの買い増し」は自身の資金ではなく、分配金ですから、ファンドの口数が増えていく分、損益分岐点を下げる効果を得ることができそうです。
 さらに、分配金が出るたびに、少なくとも分配金の分だけ基準価額が下がります。分配金によって下がった基準価額で「分配金による買い増し」がなされるのです。

毎月分配型ファンドの分配金について、一般口を選んだ方

 毎月分配型ファンドの分配金について一般口を選んでいる方は、「毎月、分配金を受け取る楽しみと安心」を得られる代わりに、「分配金による同じファンドの買い増し」がありません。よって、ファンドの数量は増えていないと思われますし、分配金による損益分岐点を下げる効果もありません。運用益に期待するしかなさそうです。
 しかし、その運用益に期待することが難しいとなると。
 販売会社によっては、一般口で投資したファンドを、累投口に変更することができる場合もあるようです。一般口から累投口に変更して、損益分岐点を下げる妙味を待つという方法も有りかも知れません。
 しかし、その妙味を得ることができるまでは、かなり時間を要する旨の覚悟が必要だと思います。

まとめに代えて
 積立投資なり、ドルコスト平均法なりの、「損益分岐点を下げる」考え方は、毎月分配型ファンドにも応用できることをお伝えしたくて、本稿を書きました。
 ここまで書いてしまうと、毎月分配型ファンドを推奨しているようにも感じてしまうかもしれませんが。先述の通り、筆者は毎月分配型ファンドを必ずしもベストな選択だとは思っていません。投資対象が魅力的で、投資方針が素晴らしくとも、やはり、パフォーマンスを挙げるには難しさを感じるのも、また事実です。
 当局の意向を代弁するつもりは毛頭ありませんが、決算頻度は少ないファンドの方が、筆者は良いと思います。
 しかしながら毎月分配型ファンドを「タコ足ファンド」と、一律に揶揄するのもいかがかと思います。と申しますのも、筆者は先ほどの表の他にも、毎月分配型ファンドでパフォーマンスを挙げていますし、筆者がアドバイスさせていただいた方も、複数の方が、やはり毎月分配型ファンドでパフォーマンスを挙げていらっしゃいましたから。
 ただし、累投口では、毎月のお楽しみの分配金を受け取ることはできませんが。