2013年、楽天との日本一をかけた日本シリーズで力投する澤村拓一投手(写真:AP/アフロ)
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 巨人が強い。セ・リーグ首位を快走し、8月19日のゲーム終了現在で2位の横浜DeNAベイスターズに4・5ゲーム差をつけ、貯金も12。8月に入ってから対中日ドラゴンズで2カード連続の負け越しを喫して嫌なムードが漂いかけたが、19日の阪神タイガース戦(東京ドーム)では8-0で大勝するなど再び上昇気流に乗り始めたようだ。何だかんだと言われながらも、今月はここまで8勝6敗1分と勝ち越している。

 その中で置いてけぼりとなっているのが、澤村拓一投手だ。今季でプロ10年目の32歳右腕。だが、2020年シーズンは13試合で1勝1敗、防御率は6・08と苦しみ、7月26日に登録を抹消された。二軍でも課題の制球力に改善の兆候は見られず、今月7日のイースタンDeNA戦(横須賀)では8回に登板し、3四球4失点とボロボロ。後日、中央大学の先輩でもある阿部慎之助二軍監督から三軍行きを通達された。

 原辰徳監督も阿部二軍監督から事前に報告を受け、その決断を尊重したようだ。肩、ひじなど澤村のコンディションには特に何も問題はない模様で現状として不調の原因がはっきりしていない。もっとも四球を連発させて痛打を浴びるという悪いパターンが、近年の澤村に見られる慢性的症状だ。果たしてメンタルの面なのか、あるいは能力が劣化しているからなのか。いずれにせよ、特に故障もしていない主力に対しての三軍降格指令は異例中の異例だ。原監督、阿部二軍監督ともに澤村の再生にはかなり手を焼き、その我慢もそろそろ限界に達しつつあるということだろう。

安定感欠く内容に加え、グラウンド外でのトラブルも

 とはいえ、曲がりなりにも澤村は今季、巨人投手陣の中で上から2番目となる推定1億5400万円もの高年俸を手にしている選手だ。振り返れば2011年のルーキーイヤーは新人王を獲得し、翌年まで2年連続2ケタ勝利。その後もリリーフ転向を経て2016年には最多セーブのタイトルも獲得している。ただ登板のたびに「澤村劇場」などと揶揄されるように安定感を欠く内容も非常に多く、信頼性が高いとは言い難いのも事実。ポテンシャルはいいものを持っているはずなのに、余りにも好不調の波が激しいところで澤村はかなり“損”をしている。