7月3日のアトレティコ戦に先発フル出場した久保建英。マジョルカは0-3で敗れたが、久保の活躍は高く評価された(写真:Pressinphoto/アフロ)

 久保建英の評価がスペインで急上昇している。

 もともと高かった評価をもうひと段階押し上げることになったのは、アトレティコ・マドリード戦でのプレーだった。

 シメオネ監督の守備戦術が浸透したアトレティコはリーガの中でも最もプレーしにくい相手だ。そんなアトレティコ相手に(ほとんど)ひとりで立ち向かい、対面の選手を翻弄する久保の姿はスペイン人に大きなインパクトを与えた。今ではリーガが抱えるスターのひとりという扱いすらうけるようになり、久保を見るためにマジョルカを見るという人もいる。

 気になるのは久保の今後だ。現在マジョルカにレンタル移籍中の久保はシーズンが終わればマドリーに戻ることになる。報道ではPSGなど複数のクラブが久保の獲得に関心を持っているというが、目を見張る成長を見せる彼をマドリーが手放すとは考えにくく、余程のことがない限り売却はないだろう。

 つまり選択肢はふたつ、レアル・マドリードに残るか、今季のマジョルカのように別のクラブへレンタル移籍するかだ。

マドリーでも十分活躍できる能力

 スペインではコロナによるリーグ戦中断前までは「もう一年レンタルで経験を積ませるべき」という意見が多数を占めていた。まだ若いのでプレー経験が必要という見方だ。しかしリーグ再開後さらに輝きが増し、そのパフォーマンスがアトレティコ戦で頂点に達すると世論は逆転した。現在では「マドリーに残すべき」という意見や「マドリーで見てみたい」という願望の方を耳にする。

 今の久保であればマドリーでも十分活躍できるだろう。能力的に疑いの余地はないし、マジョルカよりも攻撃的で周囲の選手の質にも恵まれるマドリーではプレーもしやすいはず。レベルの高い環境で切磋琢磨することで選手として一回り大きくなるかもしれない。

 しかし考慮しなければならない点がある。マドリーの若手の前に立ちはだかる、出場時間という問題だ。

 仮に久保がマドリーでプレーする選択をしたとすると、彼にはどのくらいの出場時間が与えられるのだろうか。