写真:花井智子

首位を走る鹿島アントラーズ。J1屈指の得点数を誇るチームをけん引するのが、MFの土居聖真だ。攻撃の起点としてアシスト、得点と攻撃陣を引っ張っている。「見え方が変わった」と言う土居にあったブレイクスルーの瞬間とは? そしてピッチで考える「攻撃の原則」とは――。ピッチレベルの視点をメルマガやlive配信などで紹介する『岩政大樹 PITCH LEVELラボ』の対談動画で語った。その一部を編集して紹介する。

2トップで変わったバランス

岩政大樹(以下、岩政):この『PICTHLEVELラボ』のメルマガでも紹介してきたんですが、今年のJ1リーグで鹿島アントラーズが浮上してきたポイントとして、土居聖真選手を2トップの一角として固定したのが大きかったと思っています。純粋なFWタイプを並べた2トップではなくて。土居選手が前線にスペースがないときには中盤に下りてプレーしたりと、スタートポジションはFWですが、トップ下のスペースをうまく使っているイメージがあるのですが、ご自身のなかでこのポジションにハマってきたという印象はありますか。

土居聖真(以下、土居):シーズン序盤は、左サイドMFでプレーすることが多かったんです。そこでちょっと注文じゃないですけど、(伊藤)翔くんやセルジーニョが2トップに入っていて、たとえば、右サイドにボールがあったとしたら、みんながボールサイドに寄るじゃないですか。

岩政:はい。

土居:当時は、左サイドで左SBの安西(幸輝/現・ポルティモネンセ)と組んでいたんですけど、右サイドからなかなかこっちにボールが返ってこなかったんです。もちろん要求はしていましたし、ボランチにもボールを出してくれ、とは言っていたんですけど。

でもどうしても右サイドで完結したりとか、ボールを取られたりとか、っていうのが多くて。(左SBの)安西が攻撃的な選手だったんで、僕がサイドへ流れてボールが入ったら、安西のオーバーラップを使いたいとか、もしくは、安西を囮(おとり)にして僕がそのままプレーしていく、っていう展開もやりたかったんですが、なかなか展開の中でボールが入ってこなかったんです。

岩政:なるほど。

土居:やっぱり鹿島というか、基本的に4-4-2のサイドバックがあるチームは、SBのオーバーラップを使いたいと思うんですが、すべてが停滞というか。右SBも生きない、FWも生きない、左サイドMFも生きない。手詰まりを感じていましたね。

「PITCH LEVELラボ」対談動画より

岩政:右サイドばかりでプレーしていたのは、後ろの選手が右利きばかりだから、ということが影響していますか。

土居:それはありますね。たとえば、右利きのボランチの選手が右サイドからボールを受けたら、身体を開くことができないから、逆サイドへ展開しづらい。