写真:花井智子

横浜FCを1年目(シーズン途中に就任)でJ1へ導き、その後もV・ファーレン長崎など、指揮したクラブで早々に結果を出してきた高木琢也監督。現在は、J2大宮アルディージャで指揮を執り、昇格争いを繰り広げている。そのチームビルディングとは? 「チーム作りの原則」を、ピッチレベルの視点をメルマガやlive配信などで紹介する『岩政大樹 PITCH LEVELラボ』の対談動画で語った。その一部を編集して紹介する後編。

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J1とJ2で変えたことは何か?

岩政:高木監督は昨シーズン、長崎を率いて(J1で)勝ち点30を取りました。戦力的には非常に厳しいという下馬評の中で、これだけ積み上げらえたのはひとつのサプライズでした。以前(2007年シーズンに横浜FCの監督として)J1に挑戦された時の経験を踏まえてJ1に挑まれたと思いますが、J1とJ2の違い、どんなことに取り組んだか、教えていただけますか?

高木:まず取り組みに関して言えば、以前の横浜FCの時と比べると、長崎で昇格した時のほうが、確固たるスタイルを持って(J1に)行けたと思います。それは、運動量では絶対に負けられないというところで、その走力を活かしたゲームは比較的できたんじゃないかなと思っています。

岩政:なるほど。

高木:ただ、やってみないと分からない部分もあって、(リーグ前半戦の)ひと周り目に関しては、(対戦相手から見て)長崎というチームはまだ分からない部分がありましたから、J1のチームは——基本的に自分たちのスタイルを出すチームが多いと思いますが——“対・長崎”については、こっち(長崎)のいいところを警戒せずに、どちらかというと、自分たちの良さを出そうとしてくれた。そうしたなかで、カウンターとか、いい形でボールを奪ったり、得点に絡むシーンを作れたんですけど・・・。(リーグ後半戦の)ふた周り目は、そこを乱されましたね(苦笑)。

岩政:なるほど、そうでしたか。

高木:それでうまくいかなくなった。本来はもう少し勝ち点を伸ばせたゲームもあったんですが、伸ばし切れなかったですね(註:最終的に、長崎は勝ち点30の18位でJ2に降格となった)。

岩政:J2にはいろんな個性の強い監督も多いと思います。面白い監督や意識していた監督はいましたか?

高木:湘南の(チョウ・)キジェですね。キジェは僕の一個下で、試合をするとけっこうガチガチなんですよ。向こうのほうが若干強いんですが、なんとか食い下がっていくような試合でした。お互いのバチバチ感はスゴかった。とくに、ワイドにいるサイドの選手なんか大変だったと思いますよ。

岩政:(ピッチサイドの)真横に(チョウ監督と高木監督の)おふたりがいらっしゃいますしね(笑)。

高木:そうそう。(サイドの選手)ふたりとも、(両拳を激しく上下動させるジェスチャーを見せながら)こんな感じで(激しくアップダウン)していたから(笑)。

岩政:ははは。

高木:それと、松本の反町(康治)さん。反町さんとやる時はいつも楽しい。対・松本山雅ではなくて、もう“対・反町”という感じで。絶対になんかやってくるんだろうなって、お互いが見ているんですよね。