ようやく尹美香議員の聴取を始めた検察だが・・・

 ところが、ちょうどこの13日の午後、尹氏に対する検察側の最初の召喚調査が行われた。尹氏は午後1時半ごろ、検察庁の地下駐車場を通じて検察に出頭し、14時間30分間の取り調べを受けた。市民団体から告発された横領や背任、寄付金品法違反の疑いに対する検察調査だった。韓国メディアによると、検察は近いうちに尹氏を起訴するかどうかを決める方針だという。

 3カ月間も韓国社会を騒がせた尹美香氏と正義連の疑惑に対する検察捜査は、朝鮮日報などが指摘している通り、遅々として進んでない。現在、文在寅政府の秋美愛法務長官は「検察人事権」を活用して、「検察ならし」に乗り出している。2度の人事異動で尹錫悦(ユン・ソクヨル)派の検事らを“皆殺し”にし、自分と志を共にする検事らを要職に昇進させた。これで政権関係者が絡んだ疑惑に対する検察捜査は現実的に不可能となり、尹氏に関するまともな捜査の実施も疑問視されるようになってしまった。

 検察出身の郭尚道(クァク・サンド)未来統合党議員は「これまで先延ばしにしていた検察の捜査は率直に信用できない」、「文在寅政権下ではうまく逃げ回っても次の政権での捜査が待っている」と、政権交代後の再捜査意志を明らかにした。

 ただし、今回の尹美香事態は、正義連が主導している慰安婦運動に対する強い反感を、韓国国民に植えつけた。

 14日、韓国政府が主管した「日本軍慰安婦被害者をたたえる日」の記念式典で、文大統領は映像メッセージを送り、「政府はおばあさんたちが“もう十分だ”と言うまで、おばあさんらが納得できる解決策を探る」と話した。日本に対する非難メッセージよりは、これからの慰安婦運動の「開放性と透明性」を強調し、正義連が主導してきた慰安婦問題に反感を持つ韓国国民に対するメッセージに重点を置いたのだ。

韓国の「日本軍慰安婦被害者をたたえる日」である8月14日、国立墓地「国立望郷の丘」の被害者追悼碑の前で開かれた記念式に参加した元慰安婦の李容洙氏(写真:YONHAP NEWS/アフロ)
拡大画像表示

 こちらの式典には参加した李容洙氏も「水曜集会はあってはならない(なくすべき)」と繰り返して主張した。慰安婦被害者の批判によって存在価値を失ってしまった水曜集会は果たしていつまで続けられるだろうか。