1 近年の豪雨の特徴
近年、気象庁の発表では毎年のように「前例のない集中豪雨が降った」との警告が繰り返されるようになった。
人類の営みに科学技術力を駆使し、莫大なエネルギーを放出するようになった現在、地球が持つ自然治癒力を超えるほど地球の温暖化が進んでしまったことが最大の要因だ。
地球全体の表面温度が上がるとそれに伴って大気の平均気温が上昇するため空気中に含まれる水分が多くなり、大気の循環にも異変を起こして、降雨量が増える。
台風も巨大化しており危険度が増しているが、梅雨の終り頃には前線が日本列島付近に長く停滞し、大雨が降り続くようになってしまった。
特に我が国は太洋に囲まれた火山列島で、列島中央に脊梁山脈が連なり、海からの湿った空気が山間部を駆け上がると冷却されて水分が絞り出され、降雨となって大小河川を流れ下る。
長年にわたり繰り返されてきた河川流の働きで川の近傍は少しずつ削り取られている。
しかし、最近の集中豪雨では従来とは様相が違う大規模な土砂崩れ、氾濫が多発するようになった。
このような傾向が地球温暖化に大きな原因があるとすれば、当然今後もこの状況が予期される。
我々日本民族はそれに対処する知恵と勇気を振り絞って対処するべきである。国土交通省がこれらに対処する(図1)のような取り組みを示している。